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主に数学関係の記事を書きます

命題論理 Part2

条件命題

「もし~なら、~である」というような、「もし~なら」という仮定(条件)が含まれた命題を「条件命題」という。

例えば、「もし明日の天気が晴れなら、明日運動会が行われる」という命題は条件命題である。例によってここでも記号の話をさせてもらうが、一般に「もし  A なら  B である」という条件命題は記号で「 A \Rightarrow B」と表す。

少し神経質な指摘かも知れないが、「 A \rightarrow B」ではないことに注意されたい。「そんなのどっちでもいいじゃないか」と思われるかもしれないが、一応論理学の世界では矢印の記号1つ取っても明確に使い分けがされているので、条件命題と言われたら必ず「 \Rightarrow」の方を使うようにしよう。

条件命題の言い換え

「もし  A なら  B である」という形の条件命題だが、実はこれは前記事(命題論理 Part1)で扱った「または」を使って言い換えることができる。

先ほど挙げた条件命題「もし明日の天気が晴れなら、明日運動会が行われる」を例に考えていくことにしよう。この命題は、「明日の天気が晴れである」という条件を満たせば「明日運動会が行われる」という部分は必ず真になる、と言っている。当たり前であるが、世の中の事象として「明日の天気」というのは「晴れである」か「晴れでない」かの二択しかないのだから、言い換えれば、「明日の天気が晴れではない」か、またはそうでなければ(晴れということになるので)「明日運動会が行われる」ということになる。つまり、起こりうる事象としては、

「明日の天気が晴れではない」か、または「明日運動会が行われる」

の少なくともどちらか一方が必ず成り立つ。

これを一般化すると、「もし  A なら  B である」という条件命題は

 A でないか、または  B である

という命題と同じということになる。記号で表すなら、

 \overline{A} \vee B

となる。このことをまとめておこう。

条件命題の言い換え公式
 A \Rightarrow B \quad \Longleftrightarrow \quad \overline{A} \vee B

条件命題の否定

条件命題  A \Rightarrow B の否定  \overline{A \Rightarrow B} を考える。前節の「条件命題の言い換え公式」と、前記事(命題論理 Part1)で扱った「ド・モルガンの法則」(「かつ」「または」の否定公式)を組み合わせることにより、 \overline{A \Rightarrow B} はすぐに分かる。

「条件命題の言い換え公式」より、 \overline{A \Rightarrow B}

 \overline{\overline{A} \vee B}

と同じである。すると、「ド・モルガンの法則」より、これは

 \overline{\overline{A}} \wedge \overline{B}

と同じである。 \overline{\overline{A}} は二重否定なので元の  A と同じである。したがって、

 A \wedge \overline{B}

と書き換えられる。

以上より、 \overline{A \Rightarrow B} A \wedge \overline{B} と同じになることが分かる。このことをまとめておこう。

条件命題の否定公式
 \overline{A \Rightarrow B} \quad \Longleftrightarrow \quad A \wedge \overline{B}

例えば、

「もし明日の天気が晴れなら、明日運動会が行われる」

という条件命題の否定は

「明日の天気が晴れであり、かつ明日運動会が行われない」

となる。具体例で考えれば、直観的にも納得しやすいと思う。(次の記事へ続く)

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